かなり長い間更新(交信?)を途絶えさせてた割にまたパリの話題かい!?と突っ込まれそうですが、ま、このこともちょっと書いておきたいものでして・・・(笑)

前回の記事で、パリで英語を使う際に何ら不自由な思い(あるいは不愉快な思い)をしなかったということを書きましたが、これは恐らく私にパリっ子に対して何らかの偏見があったからであろう、と。

で、その偏見を予備知識としてそれなりの姿勢と態度で臨んだから不愉快な思いをせんかっただけなんとちゃうかな?と、こういう仮説を立ててみたわけです。実際、私の知り合いでフランスに旅行に行って、英語通じんかった、とか、もうパリには行かんとかいう人も現におったわけで。。。

ま、こっからは完全に独り言ですので適当に聞き流してもらったらいいのですが、私の偏見のベースにあったのが、俗に言われる「ユーモア精神のイギリス」と「エスプリ文化のフランス」というステレオタイプな二元論です。誤解を恐れず言うと、イギリス文化はボケの文化であると。自分がぼけて笑いをとる、的な。一方エスプリ文化は他人をネタに笑いをとるみたいな感じがあって、どうもそれだけ見てるとあまり好きになれんかったわけです。

ただ、この比較だけ見てるとエスプリ国家フランスの方が明らかにプライド高そうやな。。。と、それぐらいはある程度想像できるわけです。しかもフランス国民はフランス語が世界一美しい言語であるという自負もあるでしょうし。。。

そう言えば、以前授業で取り扱った中学入試用の国語教材で、フランスの田舎の村に住むある母親が、娘が嫁ぐ際に「何も持たせてやるものがないのですが、代わりに美しいフランス語だけはしっかりと身につけさせております」というシーンがあったのですが、あの精神がフランスにはあるんかな?と。ま、この題材自体、だいぶん昔の話やろうとは思うのですが。

そんなわけで、フランスに入ったらとりあえずある程度のフランス語に対する敬意は表そうと。

ま、よくガイドブックとかでも書かれてますよね、最低限の挨拶表現はその国の言語で言えるようにしましょう、とか、お店に入ったら挨拶or会釈はしましょう、とか。あれを愚直に実践しよう、と、こう思ったわけです。

と言っても使えるフランス語表現って、Excusez moi. Bonjour. Bonsoir. Au revoir. Merci (beaucoup).+目を見る&笑顔で会釈する ぐらいですが。。。ま、たかがこの程度で、と思うのですが、これがなかなか効果覿面な場面が結構あったわけです。そのうちの一つを。。。

実はルーブル美術館で嫁のお母さんからの頼まれもので展示絵画の写真集を購入したのですが、会計を待つ列の中で、私の前に一組のスペイン人カップルが並んでおったわけです。このカップル、並んでいる最中から陽気にペチャクチャしゃべりながらブチュブチュしてるわけです。ま、、そんなことは特に珍しいことでもなく、その真後ろでこのカップルを観察していたのですが、果たしてこのカップルのお会計の段になった際に、この兄ちゃんが、姉ちゃんといちゃつきながら、カウンターへ一歩出たわけです。で、待ち構えていたレジのパリジェンヌは「Bonsoir」と声をかけたわけですが、この兄ちゃん、姉ちゃんとのいちゃつきに忙しく写真集をカウンターに置いてあいさつはなし。すると、驚くべきことに、このレジのパリジェンヌは再度はっきりと「Bonsoir」と言ったわけです!多分、このパリジェンヌ1回目の「Bonsoir」は完全に確信犯ですね!

恐らくパリジェンヌの声のトーンから何かを感じ取ったのでしょう、ところが、この兄ちゃん、このパリジェンヌに対して何と「Hello」と英語で返しよったわけです。そして何を思ったのか、続けて「Hola」と。(あかん、この兄ちゃんオモロすぎる!)

これに対してパリジェンヌは能面のような顔で会計をしていたのですが、恋人との時間に忙しいこの兄ちゃんは全く気付かず。代金を支払って立ち去ったわけですが、さて、その次がこの私の番。

とりあえず、前のアホな兄ちゃんを反面教師として、笑顔でBonsoirとレジに進むと、このパリジェンヌ、先ほどの能面と打って変わって無茶苦茶感じの良いBonsoirを返してくれるわけです。し・か・も、続いて、今度は流暢な英語で「雨が降ったりやんだりなので、この写真集ビニールの袋に入れようか?」と。

ええ!?さっき同じ写真集購入した兄ちゃんにはそんなこと一言も言わんかったやん!!??

もちろん、お願いして、支払いをすませ笑顔のMerci beaucoupでその場を去ったのですが、対応の違いぶりにオモロイを通り越して色々と考えさせられるわけです。

恐らく、フランス人は(程度の差はあれ)自国の文化、言語に対してプライドは高いのでしょう。ただ、かと言って、フランスに来た以上「お前らフランス語話せよ!」という極論を言ってるのではなく、「それなりにフランス語にも敬意は示せよ!」と。つまり、せめてHi, Hello, Thank you, Good morningぐらいはフランス語で言ってよね、ってことなのではなかろうか、と。。。

ま、でも、これ普通に考えたら当たり前過ぎることですよね・・・。日本で外国人に道を聞かれる時にいきなり上から目線で「エクスキューズミー」とこられる場合と、「ス・ス・スミモッセン。。。ドゥユースピークイングリッシュ?」って来られる場合とで、「助けたろ」というモチベーションがかなり変わりそうな気がするのは私だけでしょうか?

こんな感じで、ガイドブックとかに書かれている「そんなん当たり前やろ」ということが実は意外に腹に落ちてなったのだなぁということに自分自身が気づかされたエピソードでもあったわけです。

フランスで英語での会話を拒絶されないための教訓:とりあえず会話の出だしをフランス語でスタートし、申し訳なさげに英語で喋り始める。