とうとうこの日が来てしまいました。

日本を出発して再び本土の土を踏むまでは決して行くまい!と固く決めていた誓いはもろくも崩れ去ったのであります。

ということで、お医者さんにかかることになりました。

と言っても、歯医者さんですが。。。

そして、因みに私ではありませんが。。。

ある朝「歯、イタイ」という長男の訴えで口の中を覗き込んだ嫁の「あ、穴あいてるわ」の一言で、歯医者を探す羽目になるわけです。「ようやく留学保険使う時来たな」という嫁に対して「歯科は保険対象外やねん」の私の一言。「え、マジで?!」と絶句する嫁。。。

そうなのです。歯科を留学保険のオプションに付けると、支払額が結構な金額になったのと、にも拘らず保障限度額が8万ほど(しかもその時の説明ではイギリスでは虫歯の治療一回で約4万ほどかかり、最低2回の通院はかかると思っておいて下さいみたいな内容がパンフレットに書かれていた)だったため、「予防ができる」ということと「命には関わらんやろ」という判断のもと、歯科をオプションから外していたのです。

因みに、上記の虫歯治療4万の真偽は定かではありませんが、ブリストル大学で教鞭を取られているM先生の体験によると、歯の詰め物が取れたのを再度取り付けてもらうのに2万5000円とのこと…(-_-;)普段保険に守らてるってすごいことだと実感する時ですよね・・・。

と言うわけで、「ま、まだ乳歯やし、プライベート歯科行く必要ないやろ」という夫婦双方の判断の上、息子は悪名高きNHSへと連行されることに相成ったわけです。日本を経つ前に、掛かりつけの歯医者さんからイギリスでだけは歯医者にかからせたくないと言わしめたものが何なのかイマヒトツ理解していないため不安は増大するばかりです。

ただそれとは別に、NHSで診てもらうとなって嫁が少し懸念したのが、受診の待ち時間の長さです。NHSだと普通に治る患者が棺桶で帰ってくるとか言われたい放題なのもある程度うなずけるぐらい、待ち時間が長いというのは有名で、その手の話をいろんな場所で耳にするわけです。ある意味都市伝説化しているのでこれもどこまで定かなのかは不明なのですが、よく言われるのは、病気で病院に行っても「今混んでるからちょっと待ってもらうことになるわ~」「ちょっとでどれくらいですか?」「う~ん、そうやね~、今のペースやったら2週間後かな?」

死ぬやろ

ただ、嫁のママ友のお子さんが同じようにこちらのNHSで歯科治療をしてもらった際にはきっかり1カ月待たされたそうです。1カ月って。。。虫歯、骨まで到達するんとちゃうん・・・(-_-;)

そんなわけで、恐らく件のM先生もプライベートにかかられたのだと思われますが、とにもかくにも、とりあえず最寄りのNHSを探そうとなり、Google mapで検索をかけるとトップバッターでヒットしたのが我がブリストル大学の歯科医院(というか歯学部に併設されている歯科専門の病院?)であったわけです。しかもその病院はセンターに行く途中にあり、よくその前を通過していたので、「ここええんとちゃうん?」と尋ねると「どれどれ」とマップを眺めた嫁が、「あ、ここあかんわ。」と。「あそこの歯科医院の前、いつも花束置いてあるやん。歯科で人死ぬとかヤバいやろ??」と。

それ、たまたま歯科医院の前で誰かが車にひかれたんとちゃうの?と内心思いつつ、確かに、若干距離もあったのでもう少し近場でなかろうか?と探したところ、大学中心部から5分ほど歩いたKingsdownに小児(といっても18歳まで)専門のNHS歯科医院があり、とりあえず、風邪をひいていた長男は家に寝かせたまま我々夫婦だけいつごろ診てもらえるのか、予約だけでも取りに行こうと出かけたわけです。

到着すると、歯医者と言うよりは日本の美容院を連想させるような明るくモダンな雰囲気の玄関&院内の受付&待合室で我々の第一印象は無茶苦茶良かったわけです。それもそのはず、ここは実は小児治療はNHS扱いなのですが、成人治療はプライベート診療なのだそうです。加えて、ここの受付の女性が奇跡的に、我々を外国人と見て取るや非常にはっきりとした発音でゆっくり説明してくれたためコミュニケーションも全く問題なし。更に!「いつごろ診てもらえますか?」と尋ねたところ、「明日なんかはどう?」と。

え!マジで!?

というわけで、翌日の午前中に予約が取れたわけです。信じれん。。。

早速、翌日長男を歯医者に連れて行ったのですが、到着すると、「あなたも一緒に入室するように」とのことで長男と一緒に診察室に入るわけです。長男の虫歯を見た瞬間、先生は、「あ、これ抜かなあかんわ。麻酔打ったことある?」と。

え、抜く!!??

いきなりの展開に「絶対に抜くしかないんですか?」と聞くと、「それがベストや」と。「乳歯やし、かまへんやろ。また生えてきよるし」と。

「イギリス人に歯抜かせて大丈夫なんやろか?」と決断を迫られ、頭の中は超高速で回転したのですが、その私の表情を見て取ってか、「ほな、とりあえず今日は虫歯治療して詰めもんしとこか?」と。「ただまた痛くなる可能性あるで」と。「そん時は抜くで」と。

というか、治療できるんやったら治療してくれ、と内心思いつつ、もしかしたらこの先生、めんどくさいから引っこ抜こうとか思ったんちゃうやろか?とかいろいろと邪推しつつも、とりあえず治してくれると言うてるんで、私も息子も安堵の溜息をついたわけです。

そしてこの直後、先生は息子とやり取りをするやすぐに「君英語わからへんのか?」と気付いたので「まだこっちに来て半年ちょいです」と私が答えると「OK」と。「ほなこれから私が言うこと全部息子さんに通訳してちょうだい」と。

マジで!?

こっから先生の弾丸トークが始まるわけです。「今から何の治療をするか」「使う機材は何か」「この機材はどういう風に使うか」「痛いときは左手を挙げて」とかいちいち、区切り区切りで私が息子に通訳する時間まで設けて必ず通訳させよるわけです。で、この先生「Good boy」を結構頻発しよるわけですが、これも息子にちゃんと伝えろ、と。

「いや、先生それはさすがにわかりますよ」と伝えると「そらそうやな」と笑うわけですが、実際こちらは変な汗かきまくりの治療時間となったわけです。

治療中しきりにGood boyを連発してた先生は、治療後「この子我慢強いな。偉いわ~」としきりに感心してたのですが、「いやこれ、多分日本人の子やったら普通やと思うんですけど」と内心思いつつ、「イギリスの子はギャーギャー叫びまくって手がつけられへんねやろか?」「そのために親も一緒に診察室に入れられるんやろか?」とか妄想が膨らみながらお礼を言って診察室を後にしたわけです。

受付で念のため、「支払いは必要ですか?」と聞くと「もちろん不要」と。

う~む。。。。外国人であってもタダ・・・。

色々と考えさせられる英国での初歯科治療体験となったわけです。

この歯科医のリンクを貼っておきますのでご興味のある方はコチラから。ただチラッと見た感じではNHSのことは書かれていないような・・・代わりに諸々の治療費が恐るべき値段で表示されています・・・(-_-;)