で、この前年度の最終学期の2週間で少し学校の子供たちに顔を覚えてもらえたのと、ある程度心の準備が出来たのが吉と出て、9月からの新学期、蓋を開けてみると次男の方はすぐにクラスの雰囲気に溶け込むことができました(何故か次男の方は、幸いなことに前年度のクラスメイトから大幅な変更がなかったのか、見知った顔ばかりだったようです)。一方長女の方はというと、クラスメイトの変更はあったものの、新学期当日、ローカルイギリス人の女の子が「これで英語勉強し」と本を貸してくれたり、何かとお世話好きな別のイギリス人女の子が色々と世話を焼いてくれたりと、本人が思ったほど悲惨な新学期スタートではなかったようです。
そして、何よりも長女にとって前年度と明らかに違ったのは、この新学期から、同じ境遇にいる外国人が他に3人いたことです。同程度の英語力&同程度の学齢期の子供が5人(上記3人+うちの子2人。うちの次男のみ学年が一つ下)揃ったためかどうかは定かではありませんが、新学期がスタートすると同時に、毎日の国語の授業時間(こちらでいう英語の時間)の2コマ(3時間目と4時間目)のみ、この5名は特別クラスで英語の授業を受けられることになったのです。って、イギリスでは毎日国語の授業時間が2コマもあるん!?
で、うちの子以外の3人の内訳がセネガル人の女の子とハンガリー人の双子姉妹であったわけです。この中で一番英語が上手いのはセネガル人の女の子で、ハンガリー人の双子の片方はうちの娘以上に英語が苦手のようです。で、同じクラスメイトとなったハンガリー人双子はもちろんのこと、セネガル人の女の子も、クラスは隣なのですが、毎日2コマも一緒に授業を受けるわけなので、必然的に仲良しになり、前年度のあの悪夢が嘘のように「学校楽しい」に変わり、毎日ご機嫌で通ってくれるようになったわけです。
因みに、この特別英語学級を指導してくれたのは、ポーランド人の女性とハンガリー人の女性で、指導員であると同時に、この学校の保護者でもあるようです。どちらの先生も非常に気さくでフレンドリーな女性で子供らはもちろんのこと、我々保護者にも気をかけて色々と話かけてくれたりして、非常に素敵な先生方でした。
こうして始まった新学年でしたが、子供らを観察しているとなかなか「TESOL的に」興味深い発見がありました。
上記でも述べましたが、我が家の二人の子供の学校での英語環境は実は微妙に異なるわけです。
長女→学年にノンネイティブが他に3人おり、基本的にその子らと毎日つるむ。よってお互いの会話はEFL(それぞれにとって外国語としての英語)でなされる
次男→学年に英語ノンネイティブは「事実上」次男一人だけ。基本的にネイティブと毎日つるむ。
結果、長女は次男に比べて結構早い時期から英語を口にしていました。恐らく、全員がノンネイティブなため、バーバルコミュニケーションのみならずボディランゲッジ含むノンバーバルコミュニケーションを多用するため、次男に比べて英語を聞きっぱなしという状況にはならず結構な頻度でアウトプットをする機会が多かったためではなかろうか?と。ただし、やはりというか、必然というか、その英語はかなりブロークンで、例えばbe動詞は頻繁に省略されてたり(というかbe動詞って何?ってなもんでしょう、彼女らにとっては…)。因みに最初に口にした英語は「あんたなんか嫌いよ」を意味するのであろう「You not my friend.」です。これは恐らくハンガリーの双子の影響であると思うのですが、彼女らのモノマネをしながら頻繁に口にしていました。日本人的感覚だとこれは間違いなく「I don’t like you.」としてしまうのだろうなぁ…(-_-;)。
学校で中国語会話クラブが始まる旨の通知が来た際に、中国語に興味を持った長女が参加したいということで、申し込みを受付に出しに行ったのですが、如何せん校内の地図を把握していない私に、受付女性が中国語会話が行われる教室を口頭で説明してくれたところでわかるはずもなく、休み時間に先生に聞けと長女に伝えたところ「わかった」と長女。帰宅後「なんて聞いたん?」と尋ねたところ、それらしき人物に「You Mandarin Teacher?」と。で向こうが「Yes」と答えたので「Where?」と聞いた、と。ま、ほんまブロークンですよね…(-_-;)あと、長女はもともと次男に比べ英語には興味を持っていたので、こちらに来てからも自分で色々なフレーズを覚えては練習していました。ただ、それはいわゆる日本で英語を勉強する(と言っても受験英語ではなく、英会話を勉強する)やり方に近く、フレーズ暗記学習みたいな感じではあるのですが。。。
一方、次男は周りがネイティブばかりで、且つ、もともと英語にも全く興味がなかったため家でも何ら英語の勉強や練習もせず、基本的に、傍から見ていて自分からのアウトプットは極端に少ないように見受けられました。学校にいる間中ひたすら大量のインプットを受け続けるという状態で…そんな感じで、1か月ぐらい経った頃に「みんなが何言うてるかわかるん?」と聞くと「わかる」と。ホンマかいな!?と思いつつ流していたのですが、その次男がある日、長女と面白半分に英語で会話をしている際に、長女が質問をする側だったのですが、その質問の一つに対する答えを結構な長さの文章でスラスラと答えた時は正直びっくりしました。驚いた理由は、普段よく英語でフレーズを発している長女と比べ物にならない長さの一続きの英文を淀みなく話したことと、その話した内容がイマヒトツ私が理解できんかったというショックからです…(-_-;)もちろん文法的には怪しい英文なのでしょうが、fluency(流暢さ)の面では完全に負けたな、、、と。。。(負けんのはやっ!!!)というか、文法気にしないので、あれだけの流暢さが可能なんやろか?とも。ここ、大人になってからの英語勉強法と子供で現地に放り込まれた際に学ぶ英語との大きな違いかもしれません。
あと、これも当然の帰結かもしれませんが、リスニング力も何となく長女よりも次男の方が上のような。。。ま、この学齢期ぐらいの児童にとっては、KrashenのComprehensible Input説(理解可能な英語のシャワーを浴びればいずれ英語が口をついて出てくる)は有効なのかもしれません。
この二人の英語の上達加減に関してはある意味で私にとって非常に興味深いサンプルと言えます。
ただ、非常に残念なことに、このハンガリーの双子姉妹がこのクリスマス前をもってハンガリーに帰国してしまうという悲しい知らせが…(涙)彼女らのお母さんが同じブリストル大学でphdを終了されたためとのこと。だからかどうかは定かではありませんが、そろそろ通常クラスで国語の授業を受けても問題ないとのことで(ホンマかいな!?)今学期いっぱいで英語の特別学級も終了とのこと。双子の姉妹が帰国する最後の授業日に、何故か長女はインフルエンザ級の高熱が出て、意識朦朧のなか涙のお別れをすることになりました。
さてさて、新年明けての新学期はどんな学期になりますことやら。。。
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