昨日夫婦そろって小学校の性教育説明会に参加してきたわけです。

要は「うちの小学校では性教育についてはこういう方針のもと各学年毎にこんな教材使ってこんな風にここまで指導しようと考えてますよ。文句あるならじゃんじゃん意見頂戴ね」という趣旨の説明会で、極力多くの保護者に参加を求める意図からか実施日を2回に分けて都合の良い日で参加してほしいとのこと。時間が9時~11時30分までとあって、結構しっかりとした説明をしてくれるであろうことを期待し、全く興味のない嫁を説得して二人で行ってきたわけです。

ところが会場に到着してみると、来てる保護者は全員「非」ネイティヴイギリス人。「この説明会ってイギリス人は来ないんですか?」と聞くと「もともと招待してへんから来んわ」と。理由を聞くとイギリス人は別にどんな性教育をやろうとあまり関心がない、と(ホンマかいな!?)。好きなようにやってくれ、と。ただ、あんたら非ネイティブは宗教上の問題とかいろいろあるやろ?と。だからあんたらの意見を極力反映させた授業をするねん、とのこと。

軽い衝撃を受けますよね。ま、移民政策を取っている以上、やむを得ない(?)ことかもしれませんが、イギリスの公教育で行われる授業が、もともとからいたイギリス国民の意見ではなく移民の意見のみを聞きいれた内容で行われるとは・・・。しかも、うちの子供の通う小学校の非ネイティブ率はそんなに高くないはずです。まぁ向こうがそれでええと言うてるわけですからええんでしょうが・・・。

ところが、この性教育説明会という名の意見交換会、まぁいろんな文化出自のある人間の意見を聞くわけですからすんなり進むはずもなく、結局終わったのが11時半を大幅にオーバーした2時になろうとはこの時は知る由もないわけです(というか、2時間半の延長って、保護者集めて行う説明会の延長レベルとちゃうやろ・・・(-_-;))。

因みにイギリスでの性教育は「Relationship and Sex Education」と一般的に呼ばれるそうで(この言葉とセットになる日本語の思春期にあたる英語がpubertyです)、昨日聞いていた感じでは日本の中学校の保健の授業を小学校(というか幼稚園の年長?)からやっているといった感じでした(低学年時は衛生観念なども指導する)。そんなわけで、Reception(日本でいう年長さんですね)の子たち用の授業は家族構成(ママにもママがいて、その人が僕にとってはおばあちゃん、みたいな。)や衛生観念(食事の前は手を洗おうとか咳をするときは口を手で押さえようとか)のみの授業で一切性的な内容のものは出てきませんでした。

が・・・Year1に突入した瞬間、いきなり男女別図解付きで身体のパーツを「医学用語」で教え始めるわけです(もちろん性器含む)。で、もともとこの女性器の内部まで医学用語で指導しようとしていたのでしょうか、既に検閲(白い紙を上から貼って消されていた)を食らっておりました。この段階で嫁は結構ドン引きしています。

続いてYear2になるとYear1で指導した医学用語がちゃんと定着しているかどうかのチェックから始まるわけです。ランダムに示された身体の各部位の名称を男女共通のボディパーツ、男子特有のボディパーツ、女子特有のボディパーツに分けるというアクティビティから始まり、特に男女性器についてはその内部の名称(ま、本ブログではオブラートに包んでますが、アフリカの一部民族では割礼として切り取る部族もいて以前女性の人権侵害として問題になった部位とか)とその機能(?)まで説明するわけです。この段階で嫁の顔は半分引きつってます。これに加えて、人間の誕生から成長までをアゲハチョウとカエルと鶏との比較で説明してました。

次Year3。ここで既に第二次性徴の説明が始まり、続いて子供のでき方まで一気に説明されます(君たちは川を流れてきたところをおばあさんに拾われたのでもコウノトリが運んできたわけでもないやで!と。イギリスの家庭でも似たようなウソを子供に言ってるんやな、と。このあたりは洋の東西を問わず人間の普遍的な思考回路なのかもしれません)。

そしてYear4。Year3に続き第二次性徴の説明を再度詳しく(生理なども)行います。使用教材の題名が「hair in funny places」なのには笑ってしまいましたが・・・。最初の飛ばしっぷりからするとこのあたりは落ち着いた感じなのでしょうか?

でYear5で性行為についてもある程度説明し切っていました。

この段階でYear6何教えるんやろ??と思ったのですが、それは私の認識の甘さによるもので、Year6ではゲイやホモセクシャルの話にまで進みます(ひぇ~先生、ここ小学校でっせ)。もちろん、これは偏見・差別をなくすことが目的ですのでかなり時間を割いて慎重に説明するようです。因みに賢明な読者の方ならお分かりかと思いますが、Year5で性行為について既に説明してるわけですから、Year6はまぁそれに付随する諸々(というかほぼ全て)の事象・問題を説明しつくしていました。

と、まぁこんな感じだったので、Receptionの段階のみスムーズにクリアしたもののYear1からオカンたちからの悲鳴にも近い「カットカットカット~!!!」の叫び声が連発し、それに対して、応じるべきところは応じつつも、主催者も理解を求めるために白熱した議論になりどんどん時間は押して行ったわけです。

特にイスラム系のオカンたちはひっくり返りそうな勢いで、「アカンアカン、うちはあの子にもうしばらくはピュアでいてほしいねん。こんなん知ったら、あんたらどう責任取ってくれるん?」みたいな感じで各学年ごとに毎回毎回ダメ出しをし続けていました。私ども夫婦は子供がYear6と5なので最初の頃は一切意見もしなかったのですが、最後の方にはこのイスラムオカンたちが「アンタらええんか?子供ピュアでいてほしないんか?」と同意を求めてきよるわけです。

主催者の先生も「オタクら別に問題ないわけ?」と聞いてきたので、「日本は2000年頃に『国家介入』があったため性教育後進国なのでそれに比べるとイギリスがかなり早いことに驚いたけど、ま、うちの子ら言葉の壁があるから多分完璧には理解できないと思うんで、いいですわ」と答えると先ほどのイスラムオカンが「アンタ甘い!写真と動画と絵があるで。子供は言葉がわからんでも理解しよるで。ピュアでいてほしないんか?」とまたまた畳みかけてきよるわけです。挙句には「ああ、うち、日本で子供育てたいわー。日本ええわー」とか言い出す始末で、「いやいや、ちゃうやろ・・・」と心の中で突っ込みつつも、これがいわゆる文化の違いというやつなのかとしみじみと思い至ったわけです・・・。

因みに、同行した嫁は、ある意味イスラムオカンに同意しており、あっこまで教える必要あるん???と。訝しげな表情を終始崩しませんでしたが・・・。